はじめに 飲食チェーンが、店舗以外の業務で発達障害者中心の障害者雇用部門を立ち上げたいという場合、業務内容の切り出し方と人員配置の工夫次第で、非常に実現性の高いモデルが作れます。...
トマト農園での障害者雇用実践(飛騨高山編)
はじめに
飛騨高山のような地域でトマト農園を営む会社が発達障害の方を雇用する際には、「就労移行支援事業所」と連携することで、雇用前・雇用中・雇用後まで一貫したサポートを受けながら、安心して雇用を進めることができます。
以下は、負担を抑えつつ適切な雇用を実現するためのプロセスです。
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【ステップ1】地元の就労移行支援事業所とつながる
● 具体的にやること:
• 高山市内の就労移行支援事業所(例:ぷりずむ、はたらくねっと等)に連絡し、職場見学や実習受け入れの相談をする
• 自社で提供できる業務(収穫、袋詰め、水やり、管理など)を提示して、候補者とのマッチングを支援員と一緒に行う
• 実習やトライアルを通して、「この人はこの作業なら安定してできそう」という情報を事前に確認できる
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【ステップ2】業務の切り出し・マニュアル化
● ポイント:
• 就労移行支援事業所のスタッフに協力を仰ぎ、作業を細分化して、**「誰でも理解できる手順書」**をつくる
• 写真付き、チェックリスト形式、タイマー活用など、視覚的にわかりやすくする工夫が大切
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【ステップ3】ジョブコーチの活用
● ジョブコーチ制度とは?
• ハローワークや県が派遣する専門スタッフ(ジョブコーチ)が、職場に訪問して支援してくれる制度
• 指示の出し方や、本人の困りごと、職場との橋渡しを行い、職場定着をサポート
● 活用の流れ:
• 就労移行支援事業所やハローワーク高山に相談
• 雇用開始後、週1回など定期的に農園に来てくれる体制をつくる
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【ステップ4】生活支援と連携する
● グループホームとの連携
• 障害のある方の多くが生活支援を受けており、生活面(服薬・通勤・健康管理)と就労は表裏一体
• グループホームのスタッフと情報を共有することで、体調不良や無断欠勤のリスクを早期に把握・対応できる
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【ステップ5】助成金や支援制度を活用する
利用できる制度例:
• トライアル雇用助成金(障害者):試行的な雇用の補助
• 障害者職場定着支援:職場定着のための専門支援
• 設備等の合理的配慮に対する助成:作業台の高さ調整、ピクトグラム導入など
• 岐阜県障がい者雇用支援センター:地域密着のサポート体制あり
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【補足】よくある成功パターン
• 実習→トライアル雇用→本採用という3ステップが最も定着しやすい
• 作業は「一人で完結する内容」+「目に見える成果」があるもの(例:収穫かご1杯で1タスクなど)が◎
• 失敗の少ない作業からスタートし、慣れてきたら徐々に工程を増やす
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まとめ
飛騨高山のような自然豊かな環境は、発達障害のある方にとっても心地よい就労の場になります。
そして、就労移行支援事業所との連携を軸にすることで、企業側の負担も軽減され、雇用の成功率も高まります。
まずは地元の支援機関に「ちょっと話を聞いてみたい」と声をかけることから始めてみてください。支援者と一緒につくる「共に育つ職場」は、農園にも新しい風を運んでくれるはずです。
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ご希望があれば、農園の現場に合わせた障害者向けマニュアル例や面談フォーマットなども作成しますので、いつでもお声がけください。