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ADHD人材採用におけるIQ検査の活用(営業職編)

はじめに

WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)は、成人の知能を測定するための標準的な心理学的評価ツールで、主に言語理解、知覚推理、作業記憶、処理速度の4つの領域で能力を評価します。発達障害の方を営業職で雇用する際に、WAISの結果をどのように分析し、それぞれの強みや弱点を評価するかは非常に重要です。以下に、WAISの検査結果から能力値をどのように評価するかについて、具体的に解説します。

1. WAISの主要領域と評価方法

 • 言語理解(VCI: Verbal Comprehension Index)
言語理解の得点は、語彙力や言語的な推理能力、理解力を示します。営業職での強みとしては、顧客とのコミュニケーション能力や説明力、交渉スキルに関わる部分が強調されます。
 • 高得点: 顧客との対話での説得力が高い。
 • 低得点: 言葉での表現や顧客との会話において困難が生じる可能性があります。
 • 知覚推理(PRI: Perceptual Reasoning Index)
知覚推理は、視覚的な情報処理能力やパターン認識、論理的思考能力を測定します。営業職では、顧客のニーズを迅速に理解し、状況に合わせた柔軟な対応ができるかどうかが影響します。
 • 高得点: 視覚的な情報や直感的な問題解決能力に優れており、複雑な状況を迅速に把握し、最適な対応を導き出すことができる。
 • 低得点: 複雑な問題解決や視覚的な情報の取り扱いに苦手が見られるかもしれません。
 • 作業記憶(WMI: Working Memory Index)
作業記憶は、注意力、集中力、情報を一時的に保持し、操作する能力を測定します。営業職では、複数のタスクを同時にこなす能力や、情報を素早く覚えて実行する能力が関わってきます。
 • 高得点: 複数の顧客情報やタスクを効率的に処理し、営業活動をスムーズに行える。
 • 低得点: 同時に複数のタスクをこなすことが難しく、整理整頓が求められる場面で困難を感じるかもしれません。
 • 処理速度(PSI: Processing Speed Index)
処理速度は、視覚的な情報を素早く正確に処理する能力を示します。営業職では、迅速な情報処理能力が求められるため、この領域も重要です。
 • 高得点: タスクを迅速にこなし、効率的に業務を遂行できる。
 • 低得点: 情報を処理する速度が遅く、時間に追われる状況でストレスを感じる可能性があります。

2. 評価基準

 • IQの評価方法
WAISでは、各指標(VCI, PRI, WMI, PSI)のスコアが標準化されており、平均が100、標準偏差が15です。通常、85〜115の範囲が平均的なスコアとされ、スコアが高いほどその領域の能力が優れていることを示します。
例えば:
 • 85〜115: 平均的な能力
 • 70〜84: 少し低い能力
 • 69以下: 明確な困難がある場合
 • 116以上: 優れた能力

3. 営業職での適性評価


発達障害を持つ方が営業職に適しているかどうかをWAISの結果から評価する際は、各指標のバランスを見ます。例えば、言語理解(VCI)が高くても、作業記憶(WMI)が低い場合、顧客との会話は得意でも、情報を整理しながら複数のタスクを並行するのが難しい可能性があります。逆に、知覚推理(PRI)が高い場合は、直感的に営業活動の状況を把握しやすい反面、細かい作業記憶や情報整理に難が生じるかもしれません。

4. 強みと弱みを活かす

 • 強みを活かす: 高い言語理解能力や知覚推理能力を活かして、顧客との関係構築や営業戦略の立案、問題解決に注力できるかもしれません。
 • 弱みをサポートする: 低い作業記憶や処理速度のスコアがある場合、定期的なサポートやツールの導入(例えば、情報管理ツールやタスク管理ソフト)を通じて、弱点を補いながら業務を進められるように配慮することが重要です。

5. 総合的な判断


営業職では、対人スキルや柔軟な対応力が求められますが、それに加えて、適切なサポートを行うことで、発達障害を持つ方がその能力を最大限に発揮できる環境を整えることができます。WAISの結果は、これらの強みと弱みを理解し、適切な業務や支援を提供するための重要な手掛かりとなります。