はじめに 発達障害の軽度やグレーゾーンの方が障害者雇用で就労する人が少ない理由はいくつか考えられます。 1. 障害者手帳の取得要件を満たしにくい •...
日本の障がい者就労支援における課題
はじめに
日本の就労支援事業にはいくつかの課題があります。特に障害者雇用に関連する視点から、以下のような問題が指摘されています。
1. 就労後の定着支援の不足
多くの就労支援事業は「就職させること」を目的にしており、就職後のフォローアップが不十分な場合が多いです。特に、ADHDなど発達障害のある人は、職場環境の変化に適応するのが難しく、適切なサポートがないと短期間で離職するケースが少なくありません。
2. 企業側の受け入れ体制の不備
企業は法定雇用率を満たすために障害者雇用を進めるものの、障害特性に応じた業務設計や合理的配慮が十分でないことが多いです。特に、営業職など一般的に「障害者には向かない」とされる職種では、適切なマネジメントがなければ活躍が難しくなります。
3. 就労支援施設と企業ニーズのミスマッチ
就労移行支援事業所などの訓練内容と、企業が求めるスキルセットが一致しないことがあります。たとえば、PC作業の訓練を受けても、企業側が求めるのは対人スキルだったり、実際の業務とは異なるスキルを習得してしまうケースもあります。
4. 短期記憶・ワーキングメモリ障害への対応の不足
ADHDなどの人が働きやすい職場環境を作るには、タスク管理の工夫や、指示の出し方の調整が必要です。しかし、企業側の理解が不十分なことが多く、本人が困難を抱えながら働くことになりがちです。
5. 恋愛・人間関係のトラブル防止策が不十分
職場での対人関係トラブル(特に恋愛やハラスメント関連)に対するルール作りや予防策が不足しており、トラブルが発生した際に適切に対処できないケースもあります。
6. 行政の支援が画一的で柔軟性に欠ける
国の制度としての障害者雇用促進策はあるものの、地域差が大きく、企業や個人の実情に合わない支援も多いです。たとえば、ADHDの人に対しては「作業系の仕事」を想定した支援が多く、営業やクリエイティブ職などの選択肢が十分に提供されていません。
こうした課題を解決するためには、企業と支援機関がより連携し、障害特性に応じた柔軟な働き方を設計することが求められます。ユーザーのように、ADHD当事者の強みを活かした営業職のマッチングを進める取り組みは、その一つの解決策になり得るでしょう。