はじめに ADHDの社員が報連相(報告・連絡・相談)を滞らせてしまう理由やメカニズム、そしてそれに対応する会社や管理職の施策を以下にまとめます。 1. ADHD社員が報連相を滞らせる理由・メカニズム...
障害者雇用での保護者との連絡体制
はじめに
軽度ADHDの方を新規開拓営業として採用する際、家族や親御さんとの連絡を取れるようにするかどうかは、本人の状況や希望に応じて慎重に判断するのが望ましいです。以下のポイントを考慮して決めるとよいでしょう。
家族・親御さんと連絡を取るメリット
1. 生活面のサポートが必要な場合に対応できる
• ADHDの特性により、生活リズムの管理や金銭管理が苦手な人もいます。
• 遅刻が多い、業務に支障が出るレベルで整理整頓ができない場合、家族と連携することでサポート体制を整えやすくなります。
2. 精神的なケアがしやすい
• 新規開拓営業はストレスが多い仕事なので、精神的な負担がかかったときに家族の協力を得られると安心です。
• 仕事の継続が難しくなりそうな兆候が見られたとき、家族と話し合いながら対応できる。
3. 職場との橋渡し役になれる
• ADHDの特性上、本人が困りごとをうまく説明できないことがあります。
• 家族が状況を把握していれば、企業側との連携がスムーズになることがあります。
家族と連絡を取る際の注意点
1. 本人の同意が必須
• ADHDの方の中には、親との関係を重視しない人や、親と話されることを嫌がる人もいます。
• **「会社から家族に連絡を取ってもいいか」**を必ず本人に確認し、同意を得ることが重要です。
2. 過干渉にならないようにする
• 家族が介入しすぎると、本人の自立心を損なう可能性があります。
• 例えば「仕事のことで親が頻繁に会社に連絡してくる」といった状況は、本人の成長を妨げることになりかねません。
3. 緊急時の連絡先としての活用が適切
• 基本的には、日常の業務に関して家族とやり取りする必要はありません。
• 体調不良や長期の無断欠勤があった場合など、緊急時の連絡先として登録しておくのが適切な範囲です。
実際の対応方法(提案)
1. 入社時に「緊急連絡先」として家族の情報を登録する
• 本人の同意を得たうえで、親や家族の連絡先を控えておく。
• ただし、日常業務の報告や相談は本人と直接やり取りするようにする。
2. 「必要があれば会社から家族に連絡してよいか」を本人と話し合う
• ADHDの特性によっては、家族のフォローがあったほうが仕事を続けやすい場合もある。
• **「業務上のトラブルや体調不良があったとき、家族に連絡するのはOKか?」**と事前に確認しておく。
3. 家族と直接連絡を取る範囲を明確にする
• 「本人が業務上困っていることがあれば、まず会社に相談する」ことを基本とする。
• **「本人の了承なしに会社と家族がやり取りすることはしない」**と決めておくとトラブルを防げる。
まとめ
• ADHDの方の家族と連絡を取るかどうかは、本人の同意を前提に慎重に判断する。
• 緊急連絡先として登録しておくのは有効だが、日常の業務に関するやり取りは基本的に本人と直接行うのが望ましい。
• 本人の希望や特性に応じて、**「どの範囲まで家族と情報共有するか」**を明確に決めておくとよい。
この方針で進めれば、本人の自立を尊重しつつ、必要なときに適切なサポートを得ることができます。