発達障害ってなに?
健常者と発達障害者の脳機能の違い解説
はじめに
健常者の脳と発達障害の脳の違いは、主に神経回路の構造や機能の違いとして現れます。以下に、ADHDや自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害に関連する主な脳の違いを説明します。
1. 脳の構造的な違い
発達障害のある人の脳は、特定の領域でサイズの違いや発達の遅れが見られることがあります。
• ADHDの場合
• 前頭前野(実行機能を担う部分)が小さいまたは未発達
• 注意の持続や計画性、衝動抑制が難しくなる
• 線条体(報酬系に関与)が小さい
• 報酬(達成感や満足感)への反応が鈍くなり、即時報酬を求めやすい
• 小脳(運動や認知機能に関与)が小さい
• 動作のぎこちなさや、時間管理の困難さにつながる
• ASD(自閉スペクトラム症)の場合
• 扁桃体(感情処理)が大きいor過敏に反応する
• 感情のコントロールが難しくなり、不安が強まりやすい
• 脳梁(左右の脳をつなぐ部分)が細い
• 脳の情報統合が苦手になり、複数の刺激を同時に処理しにくい
• 感覚野が過敏 or 鈍感
• 音や光、触覚に対して極端に敏感または鈍感になりやすい
2. 神経伝達物質の違い
発達障害の脳では、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質のバランスが違うため、認知機能や行動に影響を与えます。
• ADHD
• ドーパミンとノルアドレナリンが不足しがち
• 注意が散漫になりやすく、衝動的になりやすい
• 即時報酬を求めやすく、長期的な計画を立てるのが苦手
• ASD
• セロトニンの調整がうまくいかない
• 不安が強まりやすく、こだわりが強くなる
• ガンマアミノ酪酸(GABA)システムの異常
• 刺激の調整が難しく、過敏または鈍感になる
3. 脳の機能的な違い(ネットワークの違い)
脳のネットワークのつながり方も異なります。
• ADHD
• デフォルトモードネットワーク(DMN)の活動が過剰
• ぼんやりしやすく、集中し続けるのが難しい
• 実行機能ネットワークの働きが弱い
• 計画を立てたり、ミスを防いだりするのが苦手
• ASD
• 局所的なつながりが強く、広域のつながりが弱い
• 細かいことにこだわるが、大局的な視点を持つのが難しい
• ミラーニューロンの働きが弱い
• 他者の気持ちや意図を読み取るのが苦手
まとめ
発達障害の脳は、構造・神経伝達物質・ネットワークのつながりの違いにより、注意力、感情制御、対人関係などに影響が出やすいです。ただし、これらはあくまで傾向であり、個人差が大きいため、全員に当てはまるわけではありません。
こうした違いを理解することで、自分の特性を活かした働き方や生活の工夫につなげることができます。