はじめに 双極性障害を持つ部下に対して、会社の仕事やコミュニケーションを通じて症状を改善させるには、安定した環境と適切なサポートを提供しつつ、本人の強みを活かせる仕組みをつくることが重要です。 1....
双極性障害(躁鬱)とは?
はじめに
双極性障害(躁うつ病)とは?
双極性障害は、躁状態(ハイテンション・活動的)とうつ状態(気分の落ち込み・無気力)が周期的に繰り返される精神疾患です。症状の重さによって、「双極Ⅰ型」と「双極Ⅱ型」に分類されます。
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1. 原因
双極性障害の原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関係していると考えられています。
① 遺伝的要因
家族に双極性障害の人がいると発症リスクが高まることが分かっています。
② 脳の神経伝達物質の異常
ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質のバランスが崩れることで、気分の変動が起こると考えられています。
③ 環境要因・ストレス
• 過度なストレス(仕事・人間関係・生活環境の変化)
• 睡眠不足や不規則な生活
• 薬物・アルコールの影響
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2. 症状(事例を交えて解説)
双極性障害には双極Ⅰ型と双極Ⅱ型の2種類があります。
① 双極Ⅰ型(躁状態が強い)
【事例】
Aさん(30代・男性)は、突然エネルギッシュになり、3日間ほとんど寝ずに新しいビジネスアイデアを考え続けました。衝動的に高級車を購入し、SNSで「俺は天才だ!」と投稿。その後、急に気分が落ち込み、何もやる気がなくなり仕事も休みがちに。
【症状】
• 躁状態(1週間以上続く)
• 異常に気分が高揚し、活動的になる
• 睡眠時間が短くても元気
• 話し続ける、アイデアが次々と浮かぶ
• 衝動的な行動(浪費、ギャンブル、無謀な投資)
• うつ状態
• 強い気分の落ち込み
• 何もする気が起きない(無気力)
• 自責の念が強くなる
② 双極Ⅱ型(軽躁状態とうつ状態)
【事例】
Bさん(40代・女性)は、数日間とても元気で仕事のアイデアが湧き、友人との交流も活発に。しかし、その後急に気分が沈み、食欲もなくなり、一日中ベッドから出られない状態に。
【症状】
• 軽躁状態(数日間)
• 元気で社交的になるが、極端な行動には出ない
• 睡眠時間が短くても活動できる
• 仕事や創作活動の効率が上がる
• うつ状態(双極Ⅰ型より長く、重くなることが多い)
• 何も楽しく感じられない
• 疲れやすく、集中力が落ちる
• 自殺願望が出ることも
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3. 改善方法
① 薬物療法(主な治療法)
• 気分安定薬(例:リチウム、バルプロ酸ナトリウム)
• 気分の波を安定させる
• 抗精神病薬(例:クエチアピン、オランザピン)
• 躁状態を抑える
• 抗うつ薬(慎重に使用)
• うつ状態がひどい場合に使用するが、躁転(急に躁状態になる)を防ぐため注意が必要
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② 生活習慣の改善
• 規則正しい生活を心がける
• 睡眠不足が症状を悪化させるため、毎日同じ時間に寝起きする
• ストレス管理
• 適度な運動やリラックス方法を取り入れる(ヨガ・瞑想など)
• アルコール・カフェインを控える
• 気分の乱高下を防ぐ
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③ 心理療法・カウンセリング
• 認知行動療法(CBT)
• 自分の気分の変化を記録し、行動を調整する方法を学ぶ
• 家族療法
• 家族に病気を理解してもらい、適切なサポートを受ける
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4. まとめ
双極性障害は、遺伝・脳内物質・ストレスなどが関係し、躁とうつの波を繰り返す病気です。適切な薬物療法・生活習慣の改善・心理療法を組み合わせることで、安定した生活を送ることが可能です。
早めに医師の診断を受け、適切な治療を受けることが重要です。