ADHD社員のAQ（逆境知能）を引き上げる方法

はじめに

AQ（逆境知能） とは、困難やストレスに直面したときに適応し、乗り越える力のことです。ADHDの社員は、環境の変化や失敗に対するストレスを感じやすい一方で、柔軟な発想力や適応力を活かせる特性もあります。そのため、適切なサポートによってAQを高めることは、本人の成長だけでなく、企業の生産性向上にもつながります。
AQを高めるための3つの要素

AQには、主に以下の3つの要素があります。
 1. コントロール（Control）：状況を自分で変えられるという感覚
 2. 帰属（Ownership）：逆境の原因を他責ではなく、自分の工夫で改善できると考える力
 3. 持続力（Endurance）：困難に直面しても諦めずに続ける力

ADHDの社員に対して、これらの要素を高める方法を事例を交えて紹介します。

1. コントロール（Control）を高める方法

→ 方法：成功体験を積ませる

事例：業務の「小さな成功体験」を積ませるフレームワーク
 • ADHDの社員は、業務を一度に大きく捉えすぎて混乱しやすいことがあります。
 • 「大きな目標」ではなく、「小さな目標」を設定し、それをクリアすることで「自分で状況を改善できる」という実感を得ることが重要です。

実践例：営業の新規開拓での目標設定
× 悪い例：「今月10件成約を取る」→プレッシャーが大きすぎて逆に動けなくなる
○ 良い例：「1日3社にアポイントの電話をする」→小さな目標をクリアしやすく、達成感が得られる

ポイント

 • 小さな達成感の積み重ねが、「自分で環境をコントロールできる」という意識につながる
 • ADHDの社員には「進捗を可視化する」ことが特に有効（チェックリストやタスク管理ツールの活用）

2. 帰属（Ownership）を高める方法

→ 方法：失敗の振り返りをポジティブにする

事例：「失敗＝学び」に変換する習慣を作る
 • ADHDの人は、ミスや失敗を「自分の能力不足」だと捉え、自己否定に陥ることがあります。
 • そこで、「何が原因だったか」「どうすれば次は成功できるか」を整理し、ポジティブな学びにつなげることが重要です。

実践例：営業成約率の低さを改善するための振り返りミーティング
× 悪い例：「成約率が低いのは、お前の努力不足だ」→自信を失い、モチベーションが下がる
○ 良い例：「どういう商談なら、相手に響くと思う？」→自分で考えさせ、改善策を見出させる

ポイント
 • 失敗を責めるのではなく、「次につなげるために何ができるか？」を考えさせる
 • 例えば、「次の商談では、相手のニーズを先に聞いてから話を進める」といった具体的なアクションプランを立てる

3. 持続力（Endurance）を高める方法

→ 方法：「成長のプロセス」を可視化する

事例：「成長記録ノート」の活用
 • ADHDの人は、「今やっていることが将来につながっている」という感覚を持ちにくいことがあります。
 • そこで、「過去の自分と比べてどのくらい成長したか」を可視化すると、モチベーションを維持しやすくなります。

実践例：営業の成果を記録するノートをつける
 • 週ごとに「できるようになったこと」「克服した課題」を書く習慣をつける
 • 「最初は緊張して電話もできなかったが、今はスムーズに話せるようになった」など、過去の自分と比較して成長を実感できるようにする

ポイント

 • 「今日の営業で学んだこと」を1行でも書く習慣をつける
 • 未来の大きな成果より、「昨日の自分より少しでも成長している」という実感が重要

まとめ

ADHD社員のAQを高めるには、以下の3つのポイントが重要です。
 1. コントロール（Control）：「小さな成功体験を積ませ、業務の可視化をする」
 2. 帰属（Ownership）：「失敗を学びに変える習慣をつける」
 3. 持続力（Endurance）：「成長のプロセスを可視化し、自己肯定感を高める」

特に営業職では、「短期的な成功体験の積み重ね」 と 「失敗を振り返るポジティブな習慣」 がAQ向上につながります。

御社のADHD社員に合わせた形で、この仕組みを取り入れてみるのも良いかもしれませんね。