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発達障害人材採用におけるIQ検査の活用(学習塾編)

はじめに


発達障害の方を学習塾で雇用する際、**WAIS(ウェクスラー成人知能検査)**の結果を活用して適性を判断する方法を説明します。学習塾では、指導力・事務作業・コミュニケーション能力などが求められるため、WAISの各指標をもとに、強みと課題を分析することが重要です。

WAISの指標ごとの評価と適性

1. 言語理解指標(VCI)


➡ 文章の理解力・言語表現力・知識量を示す

得意な場合

語彙が豊富で、説明が分かりやすい

論理的に話すことができ、生徒に適切な指導ができる

国語や社会などの文系科目の指導に向いている

苦手な場合

言葉で説明することが苦手

長文の読解や記述式の問題に対応しにくい

説明が簡潔すぎる、または伝わりにくい可能性がある

活かし方

VCIが高い場合は講師としての適性が高い

低い場合は教材作成や事務作業を中心に担当

2. 知覚推理指標(PRI)


➡ 図やパターン認識、論理的思考を示す

得意な場合

数学・理科などの理系科目の指導に向いている

図表やグラフを使った説明が得意

生徒に視覚的な説明をするのが上手

苦手な場合

数学の文章題や論理的な説明が難しい

空間認識が苦手で図形問題の解説がしにくい

活かし方

PRIが高い場合は数学・理科の指導向き

低い場合は事務作業や国語の指導が向いている

3. ワーキングメモリー指標(WMI)


➡ 短期記憶・作業の効率を示す

得意な場合

複数の情報を整理しながら教えられる

授業中の情報を素早く処理し、適切な指導ができる

苦手な場合

生徒からの質問を忘れやすい

授業の進行がスムーズでなくなる

板書しながら説明するのが難しい

活かし方

WMIが高い場合は臨機応変な対応ができるため、個別指導や集団指導向き

低い場合は**マニュアル化された業務(教材作成・採点)**に向いている

4. 処理速度指標(PSI)


➡ 単純作業の速さや正確さを示す

得意な場合

採点や事務作業をスピーディーにこなせる

事務処理(教材の印刷・準備など)が得意

苦手な場合

作業が遅く、締切のある業務が苦手

教室の準備や片付けに時間がかかる

活かし方

PSIが高い場合は教材作成・採点業務に向いている

低い場合は時間に余裕をもった業務を担当させる

WAIS結果を活用した職務設計の例

VCIが高い➡ 国語・社会の講師向き

PRIが高い➡ 数学・理科の講師向き

WMIが高い➡ 個別指導や複数タスク対応が得意

PSIが高い➡ 採点・教材作成・事務作業向き

発達障害の方を学習塾で雇用する際は、強みを活かせる職務を設計し、苦手な業務を補う工夫をすることが重要です。