はじめに...
発達障害人材採用におけるIQ検査の活用(IT事業編)
はじめに
発達障害の方をIT事業で雇用する際、**WAIS(ウェクスラー成人知能検査)**の結果を活用して適性を判断する方法を説明します。IT業界では、プログラミング・システム設計・データ分析・テクニカルサポートなどが求められるため、WAISの各指標をもとに、強みと課題を分析することが重要です。
WAISの指標ごとの評価と適性
1. 言語理解指標(VCI)
➡ 言語による指示の理解力や表現力を示す
得意な場合
技術文書やプログラミングの仕様書を正しく理解できる
クライアントやチームメンバーと円滑にコミュニケーションが取れる
IT研修や教育担当としての適性がある
苦手な場合
専門用語の理解に時間がかかる
文章を読むのが遅く、ドキュメント作成が苦手
口頭での説明よりも、図やサンプルコードのほうが理解しやすい
活かし方
VCIが高い場合はシステム設計・テクニカルサポート・マニュアル作成業務に適性がある
低い場合はコードレビューやペアプログラミングで補助する環境が向いている
2. 知覚推理指標(PRI)
➡ 問題解決力やシステム設計の能力を示す
得意な場合
システムの全体構造を素早く把握できる
アルゴリズムやデータ構造を理解し、最適化ができる
UI/UXデザインや3Dモデリングにも適性がある
苦手な場合
システムの構造を理解するのに時間がかかる
抽象的な概念を具体的なコードに落とし込むのが難しい
設計よりもコーディング作業の方が得意
活かし方
PRIが高い場合はプログラミング・システムアーキテクチャ設計に向いている
低い場合は既存のプログラムの修正・デバッグ業務が向いている
3. ワーキングメモリー指標(WMI)
➡ 短期記憶や作業効率を示す
得意な場合
コードの流れや関数の関係性をすぐに覚えられる
マルチタスクで開発作業ができる
バグ修正やデバッグ時に全体の流れを把握しながら作業ができる
苦手な場合
コードの細かい部分をすぐに忘れてしまう
一度に複数のタスクを処理するのが苦手
こまめなメモやタスク管理ツールの活用が必要
活かし方
WMIが高い場合はプロジェクト管理・テストエンジニア・システム運用保守向き
低い場合はシングルタスクで集中できるプログラミング作業が向いている
4. 処理速度指標(PSI)
➡ 単純作業のスピードや正確性を示す
得意な場合
タイピング速度が速く、コーディング作業がスムーズ
短時間でデバッグや修正作業をこなせる
マニュアル作業やデータ入力も正確にできる
苦手な場合
コードを書くのに時間がかかる
作業スピードが遅く、締切に追われるとストレスを感じる
迅速な判断が求められる作業にプレッシャーを感じる
活かし方
PSIが高い場合はデバッグ・テスト・データ入力作業に適している
低い場合はじっくり考えながら作業できる設計・アルゴリズム開発向き
WAIS結果を活用した職務設計の例
VCIが高い➡ テクニカルサポート・IT研修講師・仕様書作成業務に向いている
PRIが高い➡ システム設計・プログラミング・UI/UXデザインに向いている
WMIが高い➡ マルチタスクが求められるプロジェクト管理・テストエンジニアに向いている
PSIが高い➡ デバッグ・データ入力・ルーチンワーク向き
発達障害の方をIT事業で雇用する際は、得意な作業に集中できる環境を整え、苦手な部分を補う工夫をすることが重要です。