発達障害の人に「目的思考(目的志向)」が多いように見える理由には、いくつかの心理的・認知的な特徴が関係しています。ここでいう「目的思考」とは、「目的がないと動けない」「理由がないと行動しない」といった傾向を指しているのだと思いますが、その前提で解説しますね。
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• 「なんとなく動く」ためには、同時に複数の情報を頭に置いておく必要がありますが、ワーキングメモリが弱いとそれが苦手です。
• 目的が明確であることで、脳の負担が軽くなり、動きやすくなります。
• 「何をすればいいかよくわからない」状況に不安や混乱を感じやすい。
• そのため、「これを達成すればいい」という目的がはっきりしていると、安心して行動できる。
• ADHDの人は「報酬系(ドーパミン系)」の働きが独特で、興味のないことに対してモチベーションを保ちにくい。
• 逆に、「これは〇〇のためになる」「これをやると〇〇が手に入る」といった明確な目的があれば集中できる。
• 「なんのためにやるのか」がわからないと、不安や混乱を感じやすい特性があります(特にASDの人)。
• 明確な理由や目的があることで、行動に納得感が持て、見通しも立てやすくなります。
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補足:定型発達との違い
定型発達の人は「なんとなく」「みんながやっているから」でも行動できることが多いのに対し、発達障害の人は「目的がないと意味を見出せない」ために行動に移りづらい傾向があるのです。