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無関心型ASDのトリセツ

無関心型ASD(自閉症スペクトラム障害)の特徴と雇用における対策

 

1. 無関心型ASDとは?


無関心型ASDは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の一形態であり、社会的な関心や相互作用に対する反応が極端に少ない、またはほとんど無いとされる特徴を持っています。このタイプのASDを持つ人々は、他者との関わりを求めることが少なく、対人関係に対して無関心または冷淡に見えることがあります。また、感情的な反応が乏しく、周囲の状況に対して関心を示さない場合が多いです。

2. 特徴


無関心型ASDの特徴としては、以下の点が挙げられます:
 • 社会的無関心: 他者とのコミュニケーションや社会的なやり取りに対してほとんど関心を示しません。集団活動や人間関係に興味がなく、一人で過ごすことを好む傾向があります。
 • 感情表現の乏しさ: 喜びや悲しみ、怒りなどの感情を表現することが難しく、他者との感情的なつながりを築くのが困難です。表情や声のトーンに変化が少なく、感情を読み取ることが難しいことがあります。
 • 興味の範囲が限られている: 他者との関わりにあまり関心を示さない一方で、特定の興味や活動に集中することがあります。興味がある分野にのみ関心を持ち、それ以外には無関心であることが多いです。
 • 無口または一言で返答: 会話に対する反応が少なく、会話が進展しないことが多いです。言葉が少なく、状況に対する関与が感じられない場合もあります。

3. 雇用における対策


無関心型ASDの人々を雇用する際には、特にコミュニケーションや社会的関与に関するサポートが重要です。以下の対策を講じることで、職場でのパフォーマンスを高め、適切なサポートを提供することができます。

1) 業務内容の明確化
無関心型ASDの人々は、曖昧な指示や不明確な役割に混乱することがあります。したがって、職務内容を具体的かつ明確に伝え、業務の範囲や目的を理解させることが大切です。また、業務の進捗を定期的にチェックし、フィードバックを与えることで、安心感を与え、業務の達成感を高めることができます。

2) コミュニケーションの工夫

無関心型ASDの人々は、対人関係に興味を示さない場合がありますが、会話を強制するのではなく、仕事の進行状況や業務に関する具体的な質問を通じて、無理なくコミュニケーションを取ることが重要です。簡潔で分かりやすい言葉を使い、相手が答えやすいように配慮することで、会話のハードルを下げることができます。

3) 孤立感を避けるための配慮

無関心型ASDの人々は、孤立を好む傾向が強いため、あまり社交的な場に強制的に参加させるのは避けた方がよいです。しかし、完全に孤立してしまうのを防ぐために、1対1でのコミュニケーションの機会を提供し、少人数でのミーティングや、協力的なチーム作業を進めることが効果的です。

4) 感覚的な配慮

感覚過敏や鈍感の問題も無関心型ASDの特徴の一部として見られることがあります。音や光、作業環境に対する敏感さを配慮し、静かな作業環境を提供することが大切です。過度な刺激を避け、集中しやすい環境を作ることが、業務の効率を高める一助となります。

5) 自発的な参加を促す

無関心型ASDの人は、自発的に何かを始めることが少ないため、業務に参加するきっかけを作ることが求められます。具体的な業務指示や期限を設定することで、役割を明確にし、達成感を感じやすくします。また、個別のサポートを提供することで、積極的に関与する意欲を引き出すことができます。

4. まとめ

無関心型ASDの人々は、対人関係やコミュニケーションに対する関心が低く、感情表現も乏しいことがあります。しかし、明確な業務指示とサポート、感覚的な配慮、孤立感を避ける環境を提供することで、職場での適応をサポートすることができます。無理に社交的な場に参加させることなく、個別のペースで仕事に取り組むことができる環境を整えることで、無関心型ASDの人々はその能力を発揮しやすくなります。雇用者として、理解と配慮を深めることが、職場での成功を促進する鍵となります。