はじめに ADHDの人が依存症になりやすいのは、脳の神経伝達物質(特にドーパミン)の働きの違いが大きく関係しています。以下のようなメカニズムが作用します。 1. ドーパミン不足と「報酬系」の異常 •...
ADHDの2次障害について
はじめに
ADHDの二次障害とは、ADHDの特性(不注意、多動・衝動性など)が原因で、周囲の環境との不適応やストレスが積み重なり、後天的に発生する精神的・身体的な問題を指します。以下に代表的な二次障害とその原因を紹介します。
1. 抑うつ・うつ病
原因:
• 失敗体験の繰り返し(ミスの多さ、期限管理の苦手さなど)
• 周囲からの叱責や否定的な評価
• 社会的孤立や人間関係のトラブル
• 自己肯定感の低下
2. 不安障害(社交不安障害・全般性不安障害など)
原因:
• 過去の失敗への強い恐怖(例:会話のミス、仕事のミス)
• 注意のコントロールが難しく、常に不安を感じる
• 予測不能な状況に対するストレス
3. 自己肯定感の低下・自尊心の低下
原因:
• 幼少期からの「頑張ってもできない」経験の積み重ね
• 否定的なフィードバックばかり受ける(例:「努力が足りない」と言われる)
• 他者と比較し、自分が劣っていると感じる
4. 適応障害
原因:
• 環境の変化への適応が難しく、強いストレスを感じる
• ADHDの特性を理解されず、適応のための支援が受けられない
5. 依存症(アルコール、薬物、ギャンブル、ゲームなど)
原因:
• 現実逃避の手段として依存行動に走る
• 刺激を求める傾向があり、報酬系(ドーパミン)に影響を受けやすい
• ストレス解消の手段として繰り返しやすい
6. 反抗挑戦性障害・攻撃的行動
原因:
• 理解されないことによるフラストレーション
• 感情のコントロールが苦手で、衝動的な怒りを爆発させる
• 周囲からの否定的な扱いへの防衛反応
7. 睡眠障害(不眠・昼夜逆転など)
原因:
• ADHD特有の覚醒リズムのずれ
• 過度なストレスによる入眠困難
• 過集中による生活リズムの乱れ
まとめ
ADHDの二次障害は、本人の努力不足ではなく、環境とのミスマッチや周囲の理解不足が大きな要因です。適切な支援(環境調整、カウンセリング、薬物療法など)によって予防・改善が可能です。