はじめに ADHD(注意欠如・多動症)の治療には、大きく分けて「中枢神経刺激薬」と「非刺激薬」の2種類の薬が使用されます。それぞれの特徴や効果について詳しく解説します。 1....
ADHDの特性を抑える薬物療法について
はじめに
ADHDの治療薬には、大きく「中枢神経刺激薬」と「非刺激薬」の2種類があります。それぞれの効果・効能を、具体的な事例を交えて解説します。
① 中枢神経刺激薬(メチルフェニデート・アンフェタミン系)
代表例:コンサータ(メチルフェニデート)、ビバンセ(リスデキサンフェタミン)
効果・効能
• ドーパミンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、神経伝達をスムーズにする
• 注意力・集中力の向上、衝動性の抑制、多動の軽減
• 服用後30分〜1時間で効果が現れ、持続時間は薬によって異なる
事例①:営業職のAさん(30歳男性)
Aさんは、軽度のADHDと診断され、営業職に従事。以前は顧客との約束を忘れたり、商談中に話が脱線しがちで、成績が安定しなかった。コンサータを処方されると、
• メールの返信やスケジュール管理がスムーズになった
• 商談中も相手の話に集中し、的確な提案ができるようになった
結果、3ヶ月後には営業成績が向上し、上司からも評価されるようになった。
事例②:事務職のBさん(25歳女性)
Bさんは事務作業中に気が散りやすく、同僚との雑談が増えて作業が遅れることがあった。ビバンセを服用すると、
• 作業を途中で放り出すことが減り、ミスも大幅に減少
• 「やる気スイッチ」が入りやすくなり、集中力が持続
結果、仕事の効率が上がり、上司からも「最近仕事が早いね」と評価された。
② 非刺激薬(アトモキセチン・グアンファシン)
代表例:ストラテラ(アトモキセチン)、インチュニブ(グアンファシン)
効果・効能
• ドーパミンやノルアドレナリンの濃度を安定させ、注意力や感情のコントロールを改善
• 衝動性・攻撃性の軽減、感情の安定
• 効果が出るまでに2週間〜1ヶ月ほどかかるが、持続時間が長い
事例③:エンジニアのCさん(28歳男性)
Cさんは、プログラミングの仕事中に思いつきで別の作業に手をつけてしまい、納期が遅れがちだった。ストラテラを服用すると、
• 衝動的に別のことを始めるのを抑えられるようになった
• 計画的に作業を進める習慣がつき、納期遅れが減った
結果、チーム内の信頼も回復し、リーダー候補として期待されるようになった。
事例④:接客業のDさん(22歳女性)
Dさんは、職場で感情の起伏が激しく、同僚やお客様とのトラブルがあった。インチュニブを服用すると、
• イライラや感情の波が落ち着き、接客中のトラブルが減少
• 冷静に対応できるようになり、職場の人間関係が改善
結果、上司からの信頼も高まり、責任あるポジションを任されるようになった。
まとめ
• 即効性を求めるなら「中枢神経刺激薬(コンサータ・ビバンセ)」
• 感情の安定を重視するなら「非刺激薬(ストラテラ・インチュニブ)」
• 個人によって合う薬が異なるため、医師と相談しながら試すのが重要
ADHDの薬は、あくまで「サポート役」。環境調整や習慣の改善と組み合わせることで、最大限の効果を発揮します。