はじめに
知的障害は、一般的に以下のように分類されます。
1. 知的障害の程度による分類（ICD-10, DSM-5）
知的障害の程度は、知能指数（IQ）を基準として分類されることが多いです。
• 軽度（IQ 50～69）
• 簡単な日常会話が可能
• 基本的な学習能力があるが、抽象的思考や高度な学習は難しい
• 社会的なサポートがあれば自立した生活や就労が可能
• 中等度（IQ 35～49）
• 簡単な言葉でのコミュニケーションが可能
• 生活面での支援が必要（食事や着替えのサポートなど）
• 一部の単純作業が可能
• 重度（IQ 20～34）
• 限られた言語能力（単語レベルの理解）
• 日常生活のほぼすべてで介助が必要
• 介護施設や特別支援施設での生活が必要な場合が多い
• 最重度（IQ 20未満）
• 言語によるコミュニケーションがほぼ不可能
• 常に全面的な介助が必要
• 自力での移動や基本的な生活動作が困難なことが多い
（※ DSM-5 では「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4段階に分類されますが、IQスコアよりも適応機能の評価が重視されるようになっています。）
2. 原因による分類
知的障害は、発生原因に応じて以下のように分類されます。
• 遺伝的要因（ダウン症候群、脆弱X症候群など）
• 先天的要因（胎児期の感染症、妊娠中の栄養不足、薬物・アルコールの影響）
• 周産期の要因（出生時の酸素不足、低出生体重児）
• 後天的要因（幼少期の頭部外傷、脳炎、中毒など）
3. 発達特性による分類
知的障害は単独で現れる場合もあれば、他の発達障害（自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症（ADHD）など）を伴うこともあります。
例：
• 自閉症スペクトラム障害＋知的障害（ASD-ID併存）
• ADHD＋知的障害
• 学習障害（LD）を伴う知的障害
知的障害のある人の支援には、個々の特性や生活環境に応じた柔軟な対応が求められます。