はじめに
発達障害の方を専門商社で雇用する際、**WAIS（ウェクスラー成人知能検査）**の結果を活用して適性を判断する方法を説明します。専門商社では、営業・マーケティング・物流管理・事務・購買などの業務が求められるため、WAISの各指標をもとに、強みと課題を分析することが重要です。
WAISの指標ごとの評価と適性
1. 言語理解指標（VCI）
➡ 取引先との交渉力やマーケティング能力を示す
得意な場合
商品の特長を分かりやすく説明できる
クライアントの要望を正確に理解し、交渉が得意
契約書や専門的な資料の読解力が高い
苦手な場合
交渉や会話のテンポについていくのが難しい
口頭での説明よりも、文章や図解の方が理解しやすい
相手の意図をくみ取ることが苦手
活かし方
VCIが高い場合は営業・マーケティング・企画業務に適性がある
低い場合は事務職やデータ管理業務が向いている
2. 知覚推理指標（PRI）
➡ データ分析やロジカルな思考能力を示す
得意な場合
市場データや売上分析を論理的に解釈できる
商品の仕入れや在庫管理の最適化が得意
販売戦略を数値ベースで考えられる
苦手な場合
データを整理し、結論を導き出すのに時間がかかる
数値情報よりも感覚的な判断の方が得意
空間認識が苦手で、物流管理の業務が難しい
活かし方
PRIが高い場合はデータ分析・購買・ロジスティクス管理に適性がある
低い場合はルーチンワークや事務業務の方が向いている
3. ワーキングメモリー指標（WMI）
➡ マルチタスクや情報処理能力を示す
得意な場合
同時に複数の業務をこなすのが得意
クライアントごとの情報を記憶し、適切に対応できる
商品の在庫状況や価格変動を把握しながら業務ができる
苦手な場合
一度に多くの情報を扱うと混乱する
事務処理のミスを減らすために、チェックリストが必要
ルーチン化された業務の方が得意
活かし方
WMIが高い場合は営業・調達・在庫管理に適性がある
低い場合はマニュアル化された事務業務が適している
4. 処理速度指標（PSI）
➡ 迅速な判断やルーチン業務のスピードを示す
得意な場合
事務処理やデータ入力を素早くこなせる
納期やスケジュール管理を的確に行える
取引先からの問い合わせに迅速に対応できる
苦手な場合
急ぎの作業が多いとストレスを感じる
タスクの優先順位を決めるのに時間がかかる
一つひとつ丁寧に取り組むため、スピードより正確さを重視する
活かし方
PSIが高い場合は営業サポート・データ入力・受発注管理に向いている
低い場合はじっくり取り組める分析業務や購買業務が適している
WAIS結果を活用した職務設計の例
VCIが高い➡ 営業・マーケティング・交渉業務向き
PRIが高い➡ データ分析・購買・ロジスティクス管理向き
WMIが高い➡ クライアント対応・在庫管理・マルチタスク業務向き
PSIが高い➡ 事務処理・営業サポート・受発注管理向き
発達障害の方を専門商社で雇用する際は、個々の能力を活かし、適切なサポートを提供することが重要です。