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双極性障害の職場定着について

作成者: 佐々木創太|Mar 20, 2025 4:45:10 PM

はじめに

双極性障害の方が企業で就労するための合理的配慮と職場定着の成功事例

双極性障害の方が安定して働くためには、職場環境の調整と個々の特性に合わせたサポートが重要です。以下、企業側ができる合理的配慮と、実際の職場定着の成功事例を紹介します。



1. 企業側にできる合理的配慮

 
① 勤務時間の柔軟な調整
 • フレックスタイム制や時短勤務の導入
 • 体調に応じて、遅めの出社・早めの退社が可能な体制を整える。
 • うつ状態の際は短時間勤務を許可し、回復に合わせて徐々に業務量を増やす。
 • 休憩時間の確保
 • エネルギーの波に対応できるよう、小まめに休憩を取れる環境を整える。
 • テレワークや在宅勤務の活用
 • 体調が不安定なときは自宅で仕事ができる仕組みを用意する。



② 業務内容の調整
 • ストレスの少ない業務を割り当てる
 • 締切が厳しくない業務
 • 臨機応変な対応が少ない業務
 • 一定のルーティン作業がある業務
 • 業務の分担を工夫する
 • チームでフォローできる体制を作る。
 • 突然の体調不良時に備えて、業務のマニュアル化を進める。
 • 意思決定の負担を軽減する
 • 過度なプレッシャーがかからないように、指示を明確にし、判断に迷う場面を減らす。



③ コミュニケーションの工夫
 • 定期的な面談の実施
 • 体調や仕事の進捗を確認し、必要な配慮を話し合う。
 • 一方的な指示ではなく、本人の意見を尊重しながら業務調整を行う。
 • 報告・連絡・相談のルールを明確にする
 • メールやチャットなど、本人が使いやすい連絡手段を決める。
 • 職場全体の理解を深める
 • 管理職や同僚に対し、双極性障害についての研修を行い、適切な関わり方を共有する。



2. 職場定着の成功事例

 
事例①:IT企業での職場定着(SE・エンジニア職)
 
背景:
Cさん(30代・男性)は、双極Ⅱ型障害の診断を受けていたが、IT業界でエンジニアとしてのスキルが高かった。以前の職場では、長時間労働とプレッシャーの大きさから体調を崩して退職した。

企業の対応:
 • フルリモート勤務を許可し、在宅で働ける環境を提供。
 • 1日6時間勤務からスタートし、体調が安定したら8時間勤務に移行。
 • 毎週1回のオンライン面談を実施し、業務量やストレスを調整。
 • うつ状態が長引いたときは、一時的に業務を減らす柔軟な対応。

結果:
→ 体調が安定し、2年以上継続して勤務。
→ 生産性も高く、会社側も長期的な戦力として評価。



事例②:接客業(販売職)での職場定着
 
背景:
Dさん(20代・女性)は、接客業が得意で販売職に就いたが、シフト制の変則勤務や突然の業務変更がストレスとなり、体調が不安定になった。

企業の対応:
 • **勤務時間を固定(例:10時〜16時)**し、生活リズムを安定させた。
 • 繁忙期(クリスマス・セール時期)は事前に業務負担を調整し、無理のないシフトを組む。
 • 体調が悪い日は、バックヤードでの在庫管理業務に変更できるよう配慮。
 • 職場の同僚にも配慮を説明し、業務調整をしやすい環境を作った。

結果:
→ 1年以上勤務継続し、接客スキルを活かして顧客満足度向上に貢献。
→ 体調管理ができるようになり、自信を持って働けるようになった。



事例③:事務職での職場定着
 
背景:
Eさん(40代・男性)は、双極Ⅰ型障害があり、躁状態のときに業務を詰め込みすぎてしまい、うつ状態になると休職を繰り返していた。

企業の対応:
 • 1日の業務量を事前に決め、急なタスクの増減を避けるようにした。
 • タスク管理ツールを導入し、業務の見える化を図った。
 • 上司と週1回の面談を行い、無理をしていないか確認。
 • 体調不良時は、在宅勤務や短時間勤務を認める柔軟な対応を実施。

結果:
→ 過去に比べて休職が減り、安定して働けるようになった。
→ 業務をコントロールするスキルが身につき、職場での信頼が高まった。



3. まとめ(成功のポイント)

✔ 勤務時間や業務内容を柔軟に調整し、エネルギーの波に対応する。
✔ 定期的な面談で体調を確認し、必要に応じて配慮を追加する。
✔ 社内の理解を深め、チームで支え合う環境を作る。
✔ タスク管理を明確にし、プレッシャーを減らす工夫をする。

双極性障害の方が安定して働くためには、個々の特性に合わせた配慮が重要です。企業側が柔軟に対応することで、本人の強みを活かしながら職場定着につなげることができます。