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ASD社員と同僚社員の人間関係の作り方

作成者: 佐々木創太|Jan 13, 2025 3:02:50 PM

はじめに

ASD(自閉スペクトラム症)の社員が職場で良好な人間関係を築くには、周囲の同僚や上司の理解と配慮が重要です。以下では、注意すべき点や配慮、さらに実際の企業での取り組み例を挙げて説明します。

1. 注意すべき点

 
(1) ASDの特性を理解する

ASDの社員は、以下のような特徴を持つことがあります:
 • 非言語コミュニケーションの難しさ
表情やジェスチャーを理解するのが苦手な場合があります。
 • 暗黙のルールが分かりにくい
職場での「空気を読む」といった暗黙の文化が負担になることがあります。
 • ストレートな言い方をしやすい
相手の気持ちを傷つけるつもりがなくても、率直な表現が誤解を招く場合があります。
 • 社交的な疲れや感覚過敏
人間関係にストレスを感じやすく、過剰な交流が負担になることがあります。

(2) 無理に適応を求めない

ASDの社員に「周囲に合わせてほしい」というプレッシャーをかけると、ストレスを増やす原因になります。代わりに、本人の特性を尊重した柔軟な対応を心がけます。

(3) 明確で具体的な指示を出す

抽象的な言葉や曖昧な指示(例:「適当にやって」)ではなく、具体的に行動を伝えることが重要です。

2. 配慮すべき事

 
(1) コミュニケーションの工夫
 • 直接的で簡潔な伝え方
指示やフィードバックは、できるだけ簡潔で具体的に伝える。
 • 例:「この資料を午前中に3部コピーしてください」など。
 • メールやチャットを活用
ASDの社員が対面の会話に苦手意識を持つ場合、非対面のコミュニケーション手段を積極的に使用します。

(2) 環境づくり
 • フラットな人間関係を構築する
ASD社員が孤立しないよう、全社員が特性に理解を持つ環境を作ります。
 • 定期的な相談やフィードバック
周囲との関係や仕事の進め方について、本人に負担をかけずに確認します。

(3) チーム内での役割の調整
 • 得意分野を生かす役割分担
ASD社員が苦手とする業務(例:曖昧な状況判断を求められる仕事)を避け、得意分野を活用する役割を与えます。
 • ペアワークの導入
ASD社員が得意な作業に集中できるよう、他の社員と業務を分担する仕組みを作ります。

3. 実際の企業の取り組み例

 
事例1: IT企業A社
 • 取り組み
ASDの社員を採用した際、同僚全員にASDに関する研修を実施しました。具体的には、ASDの特性や配慮すべき点について動画とワークショップを活用して説明。
 • 成果
研修後、ASD社員に対する同僚の理解が深まり、「会話で確認する際には必ず要点をまとめる」「不要な雑談を減らす」といった配慮が自然に行われるようになりました。

事例2: 製造業B社
 • 取り組み
チーム内のペアワークを導入し、ASDの社員が得意とするデータ分析や品質チェックの仕事を担当。一方、対外的なコミュニケーションは他のメンバーが担当する形にしました。
 • 成果
チーム全体の生産性が向上し、ASD社員もストレスなく働ける環境が整いました。

事例3: 教育機関C社
 • 取り組み
ASD社員用の相談窓口を設置し、困ったことがあれば担当の相談員と気軽に話せるようにしました。また、相談員がチームリーダーにASD社員の状況を適宜フィードバックする仕組みを構築。
 • 成果
ASD社員が無理に問題を抱え込むことが減り、職場の人間関係のトラブルが減少しました。

事例4: 金融業D社
 • 取り組み
ASD社員の苦手分野を補完するため、直属の上司と定期的に「仕事の進め方」や「困りごと」を話し合う時間を設定しました。
 • 成果
上司との信頼関係が深まり、社員のストレスが軽減。結果的にチーム全体の雰囲気が良くなりました。

4. まとめ


ASD社員との良好な人間関係を築くためには、相互理解と柔軟な対応が鍵です。以下のポイントを意識しましょう:
 1. ASDの特性を理解し、無理に「普通」に合わせようとしない。
2. 明確で具体的なコミュニケーションを心がける。
 3. チーム全体でASD社員をサポートする体制を構築する。

これらの配慮により、ASD社員だけでなく、職場全体が働きやすい環境となる可能性があります。