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ADHD社員が報連相を滞らせてしまう原因と対策

作成者: 佐々木創太|Dec 28, 2024 9:34:34 AM

はじめに

ADHDの社員が報連相(報告・連絡・相談)を滞らせてしまう理由やメカニズム、そしてそれに対応する会社や管理職の施策を以下にまとめます。

1. ADHD社員が報連相を滞らせる理由・メカニズム

1-1. 忘れやすさや先延ばし
 • 短期記憶の弱さにより、報告しようとしても途中で忘れてしまうことがあります。
 • 先延ばしの傾向(プロクラステネーション)で、特に苦手意識があるタスクを後回しにすることで連絡が遅れる。

1-2. 優先順位付けの困難
 • 報告や相談の重要性が分かりづらく、他の業務を優先してしまうことがあります。
 • 緊急性や優先度が不明瞭なタスクに対して対応が後回しになる。

1-3. プレッシャーや失敗への恐怖
 • 失敗体験が多い場合、「ミスを指摘されるのではないか」「怒られるのではないか」と感じ、報告や相談を避けがち。
 • 自分でなんとかしようとする傾向が強まり、結果として放置してしまう。

1-4. コミュニケーションの過負荷
 • ADHDの特性として、複数のタスクを同時進行するのが苦手で、報連相の手間が「負担」と感じられることがあります。
 • 他人とのやり取りにエネルギーを要する場合、必要以上に連絡を控えてしまう。

2. 報連相をスムーズにするための会社や管理職の配慮・工夫
2-1. 報連相を促進する仕組み作り
 • 定期的なミーティングの設定
→ 報告や相談のタイミングをルーチン化することで、先延ばしや忘れを防ぎます。
 • 例: 毎朝の5分ミーティングや週次報告のスケジュール化。
 • テンプレートやフォーマットの用意
→ 具体的に「何を」「どのように」報告すべきかを定めると、本人の負担が減ります。
 • 例: 「進捗・課題・次のステップ」を記載する簡単なフォーマット。
 • デジタルツールの活用
→ SlackやTeams、Trelloのようなタスク管理ツールを使うと、進捗や連絡が視覚化され、連絡漏れが減ります。

2-2. 相談しやすい環境作り
 • 心理的安全性の確保
→ ミスや課題の報告を「責めずに評価」する文化を醸成します。
 • 例: 「問題が早く分かって助かった」「報告ありがとう」とポジティブなフィードバックをする。
 • 1on1の実施
→ 個別の定期面談を設け、日常業務の悩みを共有できる場を作る。ここで課題を早期にキャッチします。
 • オープンな質問を心がける
→ 「何か問題はある?」ではなく、「このタスクで困っている部分はどこ?」と具体的に聞く。

2-3. ADHD特性を踏まえた支援
 • リマインダーや通知の設定
→ 報告や連絡のタイミングに通知が届くよう、カレンダーやタスクツールを活用。
 • 優先順位の明確化
→ 「これが最優先、次にこれ」という具体的な指示を出す。
 • 小さなステップでタスクを分解
→ 大きな課題は分割し、それぞれの進捗を確認する。

2-4. チーム全体での取り組み
 • 報連相の頻度をチーム全体で一定化
→ 個人ではなくチームのルールとして定めることで負担を均等にします。
 • 例: 「午後3時に全員が進捗を報告」など。
 • ペアやメンター制度の導入
→ 経験豊富な同僚とタッグを組むことで、報告や相談のサポートを行う。

3. 事例

事例1: 報告の簡略化で成功

あるIT企業では、ADHD特性を持つ社員が「何をどこまで報告すれば良いか分からない」という問題を抱えていました。そこで、報告フォーマットを「今日の進捗」「困っていること」「次の予定」の3つに簡略化。これにより、本人の負担が軽減され、報連相がスムーズになりました。

事例2: 1on1で相談しやすい環境を構築

広告代理店では、ADHDの社員が相談を後回しにしてしまう傾向がありました。管理職が月1の1on1を設定し、日常的な業務の相談がしやすい場を提供。その結果、早期の問題発見が可能となり、業務効率が向上しました。

事例3: デジタルツールの導入

スタートアップ企業で、Slackのリマインダー機能を活用して「報告の締切前に自動通知」を設定。これにより、社員が報告を忘れることが激減しました。

4. まとめ

ADHD社員が報連相を滞らせる背景には、特性に起因するメカニズムが存在します。心理的安全性の確保やデジタルツールの活用、1on1の実施など、仕組みづくりとコミュニケーションを工夫することで、報連相をスムーズに行える環境を整えましょう。事例からも分かるように、簡略化や明確化が効果的です。