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ADHDの薬物療法について

作成者: 佐々木創太|Mar 25, 2025 2:54:19 PM

はじめに


ADHD(注意欠如・多動症)の治療には、大きく分けて「中枢神経刺激薬」と「非刺激薬」の2種類の薬が使用されます。それぞれの特徴や効果について詳しく解説します。

1. 中枢神経刺激薬(ドーパミン・ノルアドレナリンを増やす)

 
① メチルフェニデート(コンサータ・リタリン)

効果:

注意力・集中力を高める

衝動性や多動を抑える

特徴:

即効性がある(30〜60分で効果発現)

作用時間が異なる2種類がある

コンサータ(長時間作用型):約12時間持続し、1日1回の服用

リタリン(短時間作用型):3〜4時間程度の効果(主にナルコレプシー治療向け)

依存性のリスクがあるため慎重に管理が必要

副作用:

食欲低下(特に朝・昼)

不眠

頭痛・動悸・血圧上昇

② アンフェタミン系(ビバンセ)


効果:

注意力・集中力を向上

衝動性の抑制

特徴:

作用時間が長く、約12時間持続

コンサータよりも作用が穏やかで、離脱症状が少ない

欧米ではADHD治療の第一選択肢

副作用:

不眠・食欲低下

頭痛・胃の不快感

2. 非刺激薬(ドーパミンの調整をする)

 
① アトモキセチン(ストラテラ)

効果:

ノルアドレナリンの働きを調整し、注意力・衝動性を改善

特徴:

即効性はなく、2〜4週間かけて徐々に効果が出る

依存性がなく、長期的な服用に向いている

副作用:

吐き気・食欲低下

眠気・倦怠感

血圧上昇

② グアンファシン(インチュニブ)
効果:

衝動性や多動の抑制(特に子どもに有効)

睡眠の質を改善(夜間の覚醒を減らす)

特徴:

交感神経を抑える作用があり、落ち着きをもたらす

朝服用すると眠気が出やすいため、夜に飲むことが推奨される

副作用:

眠気・めまい

低血圧(立ちくらみ)

倦怠感

3. ADHD薬の選択ポイント


即効性を求めるなら → コンサータ・ビバンセ(短時間ならリタリン)

衝動性や多動を抑えたいなら → ストラテラ・インチュニブ

睡眠問題があるなら → インチュニブ(夜服用)

依存性が心配なら → ストラテラ・インチュニブ(非刺激薬)

4. まとめ


中枢神経刺激薬(コンサータ・ビバンセ) は即効性があり、集中力向上に強いが、食欲低下や不眠が副作用として出やすい。

非刺激薬(ストラテラ・インチュニブ) はゆっくり効果が出るが、衝動性の抑制や睡眠改善に向いている。

どの薬が合うかは個人差があるため、主治医と相談しながら試すのが重要。

薬物療法は、環境調整や認知行動療法と組み合わせると効果が高まりやすいです。